こんにちは。
『おうちモンテで療育.com』の管理人りっきー(@KodomoOtona58)です。
「おうちモンテ」を始めると、魅力的に見えてくる美しいモンテッソーリ教具たち。
我が家にも是非!と思うけど、一体何を選べばいいの?使い方はわかるかな?と悩んでいませんか。
モンテッソーリ教具には分野や系統性があり、本格的に勉強するとなると大変・・・
そこで、りっきーが我が家で発達っ子と数年おうちモンテに取り組んだ経験から、まず買うならコレ!と太鼓判を押すモンテッソーリ教具のおすすめを伝えていきたいと思います。
Contents
「言語教育」って何をするの?
前回の「感覚教具」記事でもお伝えしたように、子どもは「感覚を通して動きながら学ぶ」存在です。
そのため、モンテッソーリ教育では「知的教育分野」と呼ばれる「言語教育」「算数教育」「文化教育」の3分野においても、いきなり机の上で抽象的な操作をするわけではなく、最初は必ず具体的なものを使って取り組みが始まるのが大きな特徴です。
具体的なものから始まることは、抽象概念を理解するのに困難を抱えやすい発達っ子はもちろんですが、幼児期の小さな子どもたちにとっては、直接体験を伴うため、とても理にかなった学び方です。
五感を通して学ぶ
言葉の発達は広い意味で捉えれば、お母さんのおなかの中でお母さんの声を聴いている時期から始まっています。
モンテッソーリ教育で言う「言語の敏感期」も胎児期7ヶ月~始まっていると言われています。
出生後、声の聞こえる方を向く、喃語を話す時期を経て、1歳前後に初語が出てからも、何も言葉を教えることだけが「言語教育」ではなく、絵本を一緒に読んだり、周りの人たちと取るコミュニケーションの全てが言葉の発達には大切であり、「言語教育」になりえるのです。
今回の記事ではその中でも、語彙を豊かにする話し言葉の分野、そして書き方・読み方など文字に関わる書き言葉の分野でおすすめの教具を紹介しながら、視覚や触覚に訴えかけることで発達がゆっくりなお子さんでも母語の獲得を進めていけるような援助方法をお伝えしていきます。
「読む」より「書く」が先!?
モンテッソーリ教育では文字を「読む」ことより「書く」ことが先という考え方があります。
その理由は「読む」「書く」の意味の捉え方にあります。
「書く」ことは単に文字を再生する機械的な作業、と捉えているのです。つまり、これまで「日常生活の練習」や「感覚教育」で字形を正確に把握する目と自由に動かせる手を獲得していれば「書く」という行為ができるからです。
それに対して、「読む」という行為は、文字を一文字ずつ拾い読みができるということではなく、「単語のかたまりとして把握し、意味を理解する」ことができて初めて「読めた」ということになるため、高度な精神的作用だと考えられているからです。
例えば3歳ぐらいの子どもであっても、字を書きたくてそのまま真似をして図形のように写し取る様子が見られることもあるかと思います。
ではその子がその書いた字を単語として理解しているかというと、していないことも多いでしょう。
このような理由から、モンテッソーリ教育の「言語教育」の系統は「書く」→「読む」という順番をたどるとされているのです。
ただし、モンテッソーリ教育はイタリアから始まった欧米起源の教育のため、欧米語と日本語の違いを考慮する必要はあります。
アルファベットは「e・g・g(イー・ジー・ジー)」と1文字ずつ読めたからと言って、egg(卵)の意味は理解できませんが、日本語の場合「た・ま・ご」と読めるとそのまま意味を捉えることも可能だからです。
そのため日本の現場では、「読む」と「書く」を子どもの様子を見ながら同時進行で進めるような工夫も必要になるでしょう。
「日常生活の練習」「感覚教育」からのつながり
先ほど、「日常生活の練習」や「感覚教育」で字形を正確に把握する目と自由に動かせる手を獲得していれば「書く」ことができると言いました。
この2つの分野で子どもが獲得するのは下記のような内容です。
日常生活の練習:思い通りに身体を動かし、意志をコントロールする
感覚教育:視覚・触覚などの個々の感覚を教具によって刺激して発達させる
つまり、これは全て運動を伴っていて、具体的なものを使った活動ですね。
抽象概念をたくさん含む言語や算数の分野に行く前に、ここをしっかりやっていることで、その後の理解やつながりがスムーズになっていきます。
そして言語や算数の最初の段階でも、いきなり抽象ではなく、これまでのように必ず具体的なものを使った活動があるのです。
ここが他の幼児教育とモンテッソーリ教育の大きな違いです。
①フィギュアと絵カード
まず紹介するのは、動物フィギュアと絵カード(写真)、文字カードを使った活動です。
厳密に言うと、この活動にもいろいろなバリエーションがあるのですが、ここではあくまでも「おうちモンテ」に焦点を当て、家庭でも取り組みやすい活動として紹介をしていきますね!
<りっきーの療育の眼!>
発達っ子は「視覚情報」に強く、文字を覚えるのが早い子が多いですが、想像力が弱い子も一定数いますので、実際の具体物との結びつきができていない場合があります。
そんな時、最初に文字に触れる前に形や、におい・手触りを含めた直接体験をさせてあげることが、確実にその後の力になっていきます!
写真は我が子が4歳半の頃大ハマりしてあっという間に字を読めるようになった活動の様子です。
写真を探してきてプリントアウトして作りましたが、くもんのカード(下記参照)を購入して使うのが手間がかからずオススメです。
動物フィギュア(具体物)→絵カード(半抽象)→文字カード(抽象)という形で段階を踏んでマッチングをしていきます。
写真や絵を見て(直接体験がない状態で)文字を覚える、のではなく、フィギュアという具体物があることで、楽しくて仕方がない様子で取り組んでいました。
動物園で実際に動物を見て、帰ってからこの活動をしたり、辞典を見ながらその日のことを話す、というのも五感に訴えかけるとてもいい活動です。
我が家ではこのブームは2ヶ月続き、1年後の5歳半のときには同じ活動をカタカナカードでするブームがまたやってきて、あっというまにカタカナを読めるようになりました。
動物はさすがに実物が用意できないので(笑)フィギュアですが、可能なものは実物を用意すると大喜び間違いなしです!
我が家ではふるさと納税で野菜の詰め合わせが届いたときは、野菜とカードを使って毎回この活動をしていました。
野菜・果物に関しては、くもんのカードと絵ことば辞典が大活躍でした!
②メタルインセッツ
鉛筆を持って文字を書く前の段階でおすすめの運筆練習の教具です。
つまみのついた鉄製の図形と図形枠の組み合わせが10種類セットになっています。
まずは枠を使って内側をなぞり、できるようになれば、図形を使ってつまみを持ちながら図形の外側をなぞる、という順番で取り組みます。その後、中に線を引いたり色を塗ったり、図形を組み合わせて使ったりといろいろ発展的な活動も可能です。
小学校で必要になってくる片手でノートをおさえながら、反対の手で字を書くという左右の協調運動の練習にもぴったりです。
<りっきーの療育の眼!>
手首の回転の動きが苦手なお子さんも、この活動で楽しく取り組むことができます。図形に強いお子さんであれば、早い月齢で興味を持ってくれるケースもあると思いますので、3枚目の写真にあるように、図形のシートを作ってマッチングのおしごとに使うこともできます。小さなつまみを3本指で持つこと自体が将来の鉛筆持ちにつながります。
写真は我が家の次男が2歳9ヶ月で取り組んだときのものです。何度もやっているうちに写真2枚目のように図形枠をしっかりとなぞることが出来始めています!
我が家はこの教具、かなりの頻度で活躍しています!
図形の名前もあっというまに覚えました。
③ひらがななぞりカード
モンテッソーリ教育の言語教具には「砂文字板」というざらざらした触感の文字板があります。
文字をなぞるときにざらざらしていることで「触覚」を刺激し、筋肉刺激を通して記憶を定着させます。
ただ、これは50音全部手作りするのは至難の業なので、我が家ではここでもくもんのカードをフル活用です♪
<りっきーの療育の眼!>
読むのは得意でも書くのに苦手意識がある発達っ子は多いです。字形をとらえるのに、凹凸のないカードよりもくぼみをなぞる触覚に訴える直接体験をワンクッションいれることがおすすめです。
我が子は小学校に入り字を書き始めたときに、書き方がわからなくなったらその都度このカードをなぞるところに戻ってひらがなを習得しました。
カードを半分に切ってセリアのウォールポケットに入れて、50音順に並べています。
上に半紙をのせてなぞり書きもできます。
その後、字形をある程度捉えられて、書く敏感期がきたときはこちらが大活躍!!
書き順が書いてあり、何度も書いては消せるので、ブームの時は1日で50音全部書きあげる日もありました。
ひらがな・カタカナどちらもあり、おすすめです!
④ひらがなスタンプ(番外編)
自分で文字を書きたい!けれどまだ書けない!という時期におすすめなのがスタンプです。
正確に言うと、モンテッソーリ教具には含まれませんが、スタンプを押す行為自体が指先のつまみを促す活動ですので、手先の巧緻性の発達にぴったりです。
我が家では「モンテママのたからもの」でスタンプを購入しました。
Amazonで買えるのはこちらのようです↓
高さがあるので持ちやすさはこちらの方が上かもしれません。
⑤音節のカード
ひらがなを書けるようになった子でもつまずきやすいのが、特殊な文字の表記の仕方です。
促音(小さい「っ」)・拗音(「しゃ」「しゅ」「しょ」など)・長音(おと「う」さんなど伸ばす音)などの特殊音節は、小学校1年生で習いますが、書き方を間違える子がたくさんいますし、音節として拍で理解をしておくことがその後の文法の理解にもつながっていきます。
これも1つ目の写真がくもんのカードです。
(ただし、旧版のため、中古でしか販売がなさそうです)
該当の文字の部分を黒丸シールで覆い、別で作った文字カードの中から正解を上に置いていきます。
黒丸シールは拍の数をあらわしています。
「きんぎょ」は「ぎょ」で1拍なので、文字は2文字ですが黒丸は一つです。
この活動も高度な内容ではありますが、カードを置くという直接体験を伴っているため、カードを見てただ覚えるだけよりも記憶に定着しやすいです。
写真2枚目は手作りのカードで長音の活動中の長男です。
ちょうど1年生の夏休みの宿題にあったので、この活動の後宿題に取り組みました!
<りっきーの療育の眼!>
間違いやすい部分だけを取り出して繰り返し練習できるため、視覚情報に強い発達っ子にぴったりです。
特に不器用で小さい文字を書くのが苦手な子は、小さい「っ」を書いているつもりでも小さく書けなかったりします。
その場合、この活動で理解をしているかどうかの確認もすることができますね。
長音は発音と文字が違うことがあるので、特につまずきやすいです。おとうさんは「おとおさん」と発音しますが「おとうさん」と書きます。この違いを「文字を置く」という直接体験をすることでより覚えやすくします。
「言語教育」は豊かなコミュニケーションの土台に
言葉の発達がゆっくりな場合も多い発達っ子たち。
その反面、記憶力が高く文字には強いという強みがあったりします。
その高いインプット能力とアウトプットの間に不器用さの壁が立ちはだかってつまずくことも多いでしょう。
そういった意味でもモンテッソーリ教育の「言語教育」では、その間をつなぐ直接体験をすることができるのが、我が家では大きなメリットでした。
豊かな直接体験をすることで、結果的に興味の幅が広がり、読む絵本のジャンルにも広がりが生まれてきましたよ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
また、お会いしましょう!!
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