こんにちは。
『おうちモンテで療育.com』の管理人りっきー(@KodomoOtona58)です。
「おうちモンテ」を始めると、魅力的に見えてくる美しいモンテッソーリ教具たち。
我が家にも是非!と思うけど、一体何を選べばいいの?使い方はわかるかな?と悩んでいませんか。
モンテッソーリ教具には分野や系統性があり、本格的に勉強するとなると大変・・・
そこで、りっきーが我が家で発達っ子と数年おうちモンテに取り組んだ経験から、まず買うならコレ!と太鼓判を押すモンテッソーリ教具のおすすめを伝えていきたいと思います。
Contents
「算数教育」は早期教育!?
幼児に”算数”と聞くと、「え、早期教育?お受験!?」と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、モンテッソーリの算数教育は決してそういう意図で行われるものではありません。(早期教育を否定しているわけではありません)
ただ、数の理解の捉え方が他の教育とは大きく違っているのです。
数えられる=数字の理解ではない
一般的に書かれている数字を見て、「1,2,3・・・」と数えている様子が見られると、「数が理解できている」という認識になりがちです。
しかし、モンテッソーリ教育では「三者関係の一致」、つまり具体物(実際にある物の数)と数字(1,2,3)と数詞(いち、に、さんと読む)の三者の全てが理解できて初めて「数字を理解できた」という捉え方をします。
飴がたくさんある中から、「いち、に、さんと数えながら3個とって、3と書いてある数字もわかる」という状態のことですね。
ここでキーワードになるのは「具体物」です!
ドリルやカードなどで抜けがちになるのが、具体的なものの量概念を理解できているかどうかというところです。
実はここを抜かしたまま小学校に入学し、算数の始まりでつまずいてしまうケースが結構あるのです。
モンテッソーリ教育では、算数の導入の段階で、この具体物との一致をとても大切にし、スモールステップで教具と関わっていくことが可能です。
感覚教育からのつながり
モンテッソーリ教育では、算数や言語教育に関わる前の、日常生活の練習や感覚教育からのつながりが非常にたくさんあるのも特徴です。
子どもたちは、日常生活の練習や感覚教育において、算数につながるある操作をたくさん経験しています。
それがP・G・Sの3つの操作です。
P:ペアリング(対にする)
G:グレーディング(段階づける)
S:ソーティング(仲間分けする)
言葉にすると難しく感じますが、やっていることは単純です。
たとえば、ペアリングとは同じものを合わせることなので、円柱さしの穴に合う円柱を入れること、赤いものを2つ探してきて色合わせをすること、などもペアリングにあたります。
グレーディングはピンクタワーを大きさの順に積んだり、ミニカーを大きい方から並べたりすることです。
そしてソーティングはビーズを色分けする、おままごとの食べ物を果物と野菜に分けるなど、種類別に集めることです。
子どもたちはおおよそ2歳半ごろから知性が芽生え、遊びや身の回りの教材を使った動作を通して、この3つの操作を身に着けていきます。
そしてこの経験を十分に積んでいる子どもたちは、算数教育に必要なP・G・Sの操作の基礎を知らず知らずのうちに学んでいる状態です。つまり、「算数教育への準備ができている」ということです。
なぜ幼児に「算数教育」が可能なのか
上記で説明したように、モンテッソーリの「算数教育」では突然数の抽象的な概念を学ぶのではなく、子どもの学び方である「感覚に訴えて動きを通して学ぶ」やり方に沿って、必ず具体物を使った「運動」を伴う活動から始まっていきます。
「日常生活の練習」や「感覚教育」において、自分の思い通りに動く身体を手に入れて、意志のコントロール力を身につけた子どもたちは、P・G・Sの操作をしながら「ものを考える方法を獲得」していっているのです。
「ものを考える方法」を獲得した子どもたちはいざ算数教具を目の前にしたときには、今まで何度も繰り返してきた操作方法を使って、自然と「算数教育」に向き合っていく力があります。
これまでの積み重ねと、抽象からではないスタートの仕方により、幼児であっても「算数教育」に取り組むことが可能なのです。
①ミニ算数棒
まず紹介するのは「ミニ算数棒」です。
ミニというからにはミニじゃないものもあります(笑)
下の画像を見ていただくと、左が通常サイズ、右が卓上のミニサイズのものです。
モンテッソーリ教具として一般的なのは、左の通常サイズのものです。一番短いものが10センチ、一番長いものが1メートルある10本の棒です。算数棒の目的は「10までの数の三者関係を一致」させることです。
それぞれの棒を見て、数字と一致することができるようになれば、足し算の活動に取り組むことができます。足し算といっても具体物(ここでは算数棒)がある状態で動きを伴って学んでいくので子どもにとっては自然な流れで、決して難しいものではありません。
活動のバリエーションはたくさんありますが、例えば、10の棒を基準に置き、その下に9の棒を置いて、あといくつで10になるか、ということをたずねます。
子どもが「1」と答えたら、1の棒を選び9の横に置く、という形で活動を展開していきます。
子どもたちは、机の上でプリントで足し算をするのとは違い、「運動」を伴う形で、足し算の概念を文字通り「体得」していくことが可能になります。
<身につく力>
・順番に並べることにより長さの順序性に気づく。
・おはじきのような分離量ではなく、「連続量」として数を視覚的に理解できる。
・一番短い棒と「1」と伝え、1の棒を使って10までの量と数詞、数字を一致することができる。
・10までの数の合成分解ができるようになる。
<りっきーの療育の眼!>
この教具は実はのちのちの算数の活動に活きてくる基本になる教具です。写真2枚目のように、我が家の小学生の長男は、足し算引き算の宿題のときに卓上サイズのミニ算数棒をフル活用しています!
6歳頃になると、手先の巧緻性からも卓上サイズの「1」の棒も扱える手が育ってきます。そのタイミングで視覚的な援助として使用することで、想像したり暗算が難しくても、一人でやり遂げる達成感を得ることができます。
<購入ポイント>
先々を見据えるならば、卓上サイズもおすすめです。
現段階で小さなものを指でつまむことが容易にできない場合は、卓上サイズはまだ早いです。
3~4歳ごろまでは、重いもの大きいもの長いものを運んだりする動作そのものに魅力を感じる年齢です。
そうして筋肉記憶に訴えかけて学習をしているので、月齢やお子さんの状況に応じて、どちらを購入するか検討すると良いと思います。
②錘形棒(すいけいぼう)
0~9が書かれた仕切りのある箱と、45本の棒、輪ゴム8本がセットになった教具です。
目的は0~9までの三者関係の一致と、0の概念の導入です。
仕切られた数字の書いてある部分に、棒を1本ずつ握って数えながら入れていきます。
2本以上になると、輪ゴムで束ねて、全体の量をまとまりとして捉えられるようにします。
段々と棒の数が増えて、7あたりからは子どもの手には余る量になっていくことで、量が増えた=大きい数ということを体感することができます。
9を束ねた後は、棒が入っていた箱が空になったことを一緒に確認し、最後に「0」を紹介します。「0」と書かれた仕切りの中に何も入っていないことを手を入れて確認しながら「0とは何もないこと」であると説明をします。
量の体感を伴った状態で0を知ることと、ただ口頭で「0は何もない」と知ることでは、子どもの理解に大きな差が生まれます。
我が家では長男・次男ともこの教具にハマりました。
次男はまさに現在進行形で「数の敏感期」のため、何度も何度も数えていました。
まだ輪ゴムで束ねるのは難しく、そのまま仕切りに入れていましたが、そこはお子さんの発達状況に応じて柔軟に伝える、でOKです!
<身につく力>
・棒をまとめることを通して、数のまとまりに気づく。
・0~9までの三者関係が一致する。
・0の概念を理解する。
<りっきーの療育の眼!>
数を目に見える形で理解しやすいことはもちろん、この活動は「手先の巧緻性」という観点でもとてもおすすめです。
輪ゴムをかけるという動作は、左右の手の協応運動が必要となってきます。
発達っ子は不器用なケースも多く、たとえばかるたのカードの束を輪ゴムで束ねることが難しかったり、日常の他の場面で「あれ?できない・・・」ということにもなりがちです。
算数の教具ではありますが、繰り返しこの教具に取り組むことで、手首をねじって輪ゴムを2重にしたりする動作が身についていきます。
<購入ポイント>
教具の中には、上から下まで太さが変わらない棒のものが販売されていますが、それはりっきー的にはあまりオススメしません。
真ん中がふくらんでいる形になっているのには理由があるからです。子どもたちが棒を一本ずつ集めて握ったまま数を数えるときに、下の部分を握って持つと棒の上部が広がるため数えやすいのです。
太さが変わらない棒を使って取り組むと、数え間違いやすかったり、どこまで数えたかわからなくなる可能性があるので、購入される場合は気を付けて見るようにしましょう。
③砂数字板
0から9までの砂文字が板に書かれた教具です。
数字1つずつで分かれているものと、0~9まで並んで書かれた壁掛けできるタイプのものがあります。
砂文字なので表面はざらざらしていて、触覚に訴えかけて数字の形を認識させやすくなります。
我が家では、木の板に紙やすりを切り抜いて貼って、壁掛けタイプで手作りをしました。
目的は書き順の把握や、数字と数詞の一致です。
6と9など間違いやすい数字の認識にも一役買います。
<身につく力>
・6と9など鏡文字になったり間違いやすい数字の細かな差異に気づく。
・なぞることで筆順を体感することができる。
<りっきーの療育の眼!>
読むことは比較的早くできても、書くことに苦手意識のある発達っ子は割といます。書く時期が来たときに、うまく書けなければ、一度この教具に戻り、なぞってからもう一度鉛筆で書く、という手順を繰り返すと、形の認識が進みやすいです。我が家は小1の1学期にしばらく使っていなかったこの教具が再度活躍しました。
<購入ポイント>
海外のものを購入する際は、4や7の数字の形が日本のものと異なる場合があるので、注意してください。
その差異がどうしても気になる場合は手作りをするのがおすすめです。(紙やすりをひらがなの形に切り抜くのはなかなか大変ですが、数字は比較的簡単に作れます!)
④数字と玉
赤い玉55個と1から10の型抜き数字がセットになった教具です。
目的は数字の序列の紹介、奇数と偶数の概念の視覚的・感覚的理解です。
我が家の子どもたちはこの教具にドハマりしました!
赤い玉を2列にして型抜き数字の下に並べていきます。
「2個ずつ並べていって、仲間はずれができたときは間に置く」という約束をして、1〜10まで全て置いてもらいます。
全て並べ終わったら、人差し指を2列に並んだ玉の間に通していきます。
奇数のときは指がぶつかって「通らない」、偶数のときは指が「通る」ということを全ての数字について伝えていきます。
指が通った数=2,4,6,8,10のことを偶数、
指が通らない数=1,3,5,7,9のことを奇数、
と紹介します。
「奇数」「偶数」といった表現は一見子どもたちには難しすぎるように感じますが、「言語の敏感期」でもある子どもたちに言葉そのものへの「難しい」「簡単」という概念はあまりなく、どんな言葉でも覚える力を持っています。
大切なのは、ただ言い方を伝えるのではなく、体感を伴い、視覚的・感覚的に「奇数」「偶数」の概念が伝わったかどうか、ということです。
次男はまだ2列に並べるのではなく、1列に並べたがりました!
「秩序の敏感期」が強く出ていますね↓
<身につく力>
・たくさんある玉を最後まで並べ切る集中力
・2列に順序よく並べる手先の巧緻性
・数字の序列の理解
<りっきーの療育の眼!>
元々はこの教具に白いマットはついていないのですが、数字と数字の間に線を引き、並べるエリアを明確にしてあげると視覚的援助になるかと思い、りっきーオリジナルでマットを作成しました。
100均のフェルトを切ってつなげ、油性ペンで仕切りの線を引いただけです。
特性もあり、ある程度の年齢でも並べるということに興味が強いお子さんの場合、特に集中して活動することができるかもしれません。
玉がずれないように細かく調整して並べようとすることで手先の巧緻性が身についていきます。
<購入ポイント>
砂数字板と同じく、海外のものを購入する際は、4や7の数字の形が日本のものと異なる場合があるので、注意してください。
ただし、砂数字板と違って数字の形に特化した教具ではないため、子どもがその数字として認識できるのであればそこまで神経質にならなくてOKかと思います。
⑤色ビーズ
色ビーズ(1~9まで)と数字カード、数えるためのブリッジ(白い厚紙のようなもの)がセットになった教具です。
小さな色ビーズを一つ一つ数えるためには、手首のスナップなど、細かい動きをスムーズにできる必要があります。
また、この色ビーズを基本にこの後様々な算数の活動がありますので、それぞれのビーズの色を知り、数えるようになることが目的です。
大人からすると、このビーズを数えることの何が楽しいのか、と一見思えますが、子どもたちはビーズが大好きで、教室では何度も何度も喜んで数える子もいます。
<身につく力>
・ブリッジを使ってビーズを数える際の手先の巧緻性
<りっきーの療育の眼!>
1・・・赤
2・・・緑
3・・・オレンジ
4・・・黄色
5・・・水色
6・・・藤色
7・・・白
8・・・こげ茶
9・・・青
というようにそれぞれの数字に対応する色が決まっています。
決まりや規則性を読み取り、変換して対応させていく、という操作は今後の算数分野でも幾度となく登場しますので、ここでしっかりと理解しておくと、以降の活動にもつながっていきます。
<購入ポイント>
ビーズには規格があり、購入店によって大きさが異なることがあるため注意してください。
7mmもしくは8mmのものが多いですが、異なる店で他のビーズの教具を購入すると、同じ数のはずなのに並べると大きさが合わない、という可能性が出てきます。お気をつけくださいね!
(番外編)数字スタンプ
正式な教具ではないのですが、まだ文字・数字を書けないけれど、興味があるというお子さんには、数字スタンプを押す活動がおすすめです。
我が家の次男は2歳後半〜3歳前後の頃、この活動がとても気に入っていました。
スタンプは押す部分を見ると数字が反転していてわかりにくく、何度も向きを考えて集中して押す様子が見られ、根気強く取り組んでいました。
また、スタンプをきれいに押すには均等に紙に力を伝える必要があるので、手指の調整力も鍛えることができます。
モンテの算数教育は算数好きを育てる!
ここまで5つ+番外編1つの算数教具についてお伝えしてきました。
モンテの算数教具に共通して言えることは、全てが具体物からのスタートで、決して机の上、紙の上だけの教え込む教育にはならないということです。
だからこそ、幼児期の子どもたちが主体性を持って取り組みたくなり、算数への苦手意識を持つことなく、自然に数の世界へ入っていけるのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、お会いしましょう!!
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