【発達障害】手先の不器用さが改善!?おうちモンテで療育~ねじ回し編~

こんにちは。
『おうちモンテで療育.com』管理人のりっきー(@KodomoOtona58)です。

発達障害があって手先が不器用・・・でも障害だから仕方ない!?

りっきー
おうちで親子で楽しく遊びながら手先を動かして、できることが増えたらうれしいんだけど・・・

そんな時に読んでほしい「回す動作が身につくおうちモンテのおしごと」についての記事です!

Contents

発達っ子の手先の不器用さは脳の交通整理がうまくいかないことが原因!?

発達障害の特性を持つ子どもたちは「手先が不器用」と言われることがよくあります。
では、その理由は何なのでしょうか?

もちろん様々な要因が絡み合ってのことではありますが、その理由の一つに「脳の中で情報の交通整理がうまくいっていない」ことがあげられます。

ある動作を思った通りに行うためには、目で見たものが正確に脳に伝わり、必要な情報だけを選んで整理し、脳から行動に移すための指令(電気信号)が出る必要があります。

しかし、発達っ子の中には目で見た情報を脳に伝える過程、脳で処理する過程、そして実際に運動として電気信号で筋肉に伝える過程、のいずれか、もしくは複数がうまくいかず、結果的にその動作ができないということがよくあるようです。

この脳の交通整理の仕組みについては以下の書籍で詳しく説明されていますので、ご興味のある方はご一読ください。

モンテッソーリ教育の運動のメカニズム

モンテッソーリ教育では『子どもは感覚を通して、動きながら学ぶ』と言われます。

外部からの刺激が視覚・触覚・嗅覚などの感覚器官を通して、脳に伝わり、その後脳からの命令で運動器官を通して、運動が起こります。
これを図にしたのが下記の『運動のメカニズム』です。

「モンテッソーリ教育とは」よりhttp://www.preschool.tokyo/contents/sensation.html

この経路での学びは、必ず五感からの直接体験を伴っているので、記憶に残りやすいと言われています。

りっきー

皆さんも紙の上でだけ学習した内容よりも、直接体験を伴った学習の方が記憶に残っていませんか?


脳の発達が著しいこの時期に神経回路は完成していくので、なるべくこの回路を通した学びをたくさん経験させてあげることが大切です。

発達っ子は感覚の問題を抱えていることが多い

発達っ子は「脳で情報の交通整理がうまくいかない」ことがあるというお話をしました。

たとえば、我が家の息子の場合・・・

  • 触覚が過敏(のり・粘土・泥などが苦手)
  • 平衡感覚が鈍感(繰り返し高いところから飛び降りる、ブランコをどんなに揺らしても平気)
  • 固有感覚が鈍感(力加減ができず、優しく触ることが難しい)
固有感覚とは??
固有感覚とは深部感覚とも言い、普段は感じにくい感覚の一つです。
簡単に言うと、関節の角度や動きを感知したり、筋肉の張り・緩みなどをつかさどっている感覚です。
無意識に使っているため、ここに問題を抱えていることに気づくのは難しいと言われています。

このような感覚の問題は、目に見えないため、なかなか周りに理解されず、でも本人は大変!というところがツライところです。

りっきー
感覚って自分にしかわからないものね・・・

上でお話したモンテッソーリ教育の「運動のメカニズム」のどこかの部分が発達の特性によりスムーズにつながらないのが、発達っ子の不器用さのあらわれでもあるのかもしれないと思っています。(あくまでこれまで学んだ内容と子育て経験からのりっきーの意見です!)

でも、そういった感覚の過敏さ・鈍感さを少しでも軽減して、本人が暮らしやすくするのもまた、この「運動のメカニズム」を通した経験をたくさんすることだと、子どもたちを見ていると感じるのです。

様々な動作を通じて、本人が楽しく(ここ重要です!)活動を繰り返すことが大切なことだと思います。

いろいろな感覚の問題を抱えていた我が家の息子ですが、2年半のモンテや運動の取り組み方のおかげもあってか、今は上に書いた過敏・鈍感さの多くが実際に軽減されてきています!

おうちモンテで療育のススメ~手首を使ったおしごと~

さて、りっきー家ではいったいどんな取り組みをしたのでしょうか!?
実は、一つひとつは本当に「普通の動作」です。使う道具も100均やホームセンターなど一般的なお店に手に入るものばかり。

ポイントは2つあります!
これさえ理解して取り組めば、取り扱う素材はお子さんの興味に合わせてでOKです。

  1. 大きい動作から小さい動作へ
    人間の発達は全て、中心から外側へ、大きい小さいところへ進みます。手先の巧緻性に関しても、いきなり指先を動かす動作を繰り返しやろうとしてもうまくいきません。赤ちゃんがいきなり2本指で豆をつまめないのを想像してもらうとわかりやすいかと思います。
    すごくざっくりと書くと、肩を使って大きく腕を回す→肘から下を使って手を動かす→手首のスナップを使って動かす→指先を使ってつまむ動作がスムーズになる、というイメージです。(身体の専門家ではないため、あくまでざっくりとなのでご了承ください)
  2. 使う道具は子どもの手に合ったサイズのものを選ぶ
    発達に合った動きを楽しく続けるには、大人と同じサイズのものでは難しいことが多いです。大人サイズのものを使い、うまく扱えず失敗してしまうと、あきらめてしまうお子さんもいると思います。特に発達っ子たちの中には「失敗しそうなことはやりたくない・やらない」という0か100かのお子さんも一定の割合で存在しますので(我が子もそのタイプ)、なるべく自分ひとりの力でできそうなもの・少しお手伝いするとできそうなもの、をチョイスしてあげるとよいかと思います。

シュレッダーのおしごと

<動き>
肩から大きく動かす(上下の回転)
<使う感覚>

触覚・聴覚・視覚

紙の吸い込まれる感覚、手ごたえ、ざくざくという音に夢中になって取り組みました。次第に自分で蓋をおさえながらできるようになり、2年経過後も弟と分担して、交代でまだ取り組んでいます。
必要なくなった書類の処分は子どもたちにお任せ!です(笑)

4歳半ごろ

6歳半ごろ

卓上サイズがおすすめです↓

コーヒー豆を挽く

<動き>
肩から大きく動かす(平行方向の回転)
<使う感覚>

触覚・聴覚・視覚・嗅覚

りっきーがコーヒーメーカーを愛用していることから、コーヒーの香りには小さいころからなじみがあった息子。
挽くときの手ごたえに「香り」というプラスの要素が楽しく、喜んで取り組みました。嗅覚の直接体験は子どもの完成を豊かにしてくれます。
そして、「お母さんのコーヒー!」と言って挽いてくれた豆でコーヒーを淹れると一層おいしいです。(親バカ)

5歳ごろ

どうせ買うなら本格派↓

リーズナブルに!↓

ねじ回しのおしごと

<動き>
肘から下と手首のスナップ
<使う感覚>

触覚・視覚

家具の組み立て時にネジに興味を持ったことから、思いつきました。
100均の発砲スチロールブロックを使用。
ぐんぐんネジが入り込んでいく感触がたまらなかったようで、写真左のように一度に30本近く集中してやったこともあります。このおしごとで相当手首のスナップが良く機能するようになりました!
現在も思い出しては時々おしごとしています。

5歳半ごろ

6歳半ごろ

かわいい色もあります↓


シンプルイズベスト↓

ボルトとナット

<動き>
手首のスナップと3本指でつまみながら回す
<使う感覚>

触覚・視覚

取り組み時の写真がありませんが、ネジ回しの後、ペットボトルのキャップ(一度開封済みのもの)をあけられるようになったタイミングで導入しました!手首だけでなく指先の細かい動きが求められます。

ボルトとナットは、大小だけではなく、素材を木や金属と変え、触ったときの感触のバリエーションも持たせました。
材料は100均の木製鍋敷きと、ホームセンターの各種ボルト&ナットです。画像のようにボルトを貼り付けて作る際はボルトの頭が平らなものを購入してくださいね。

5歳半ごろ

木製(サイズいろいろあります)↓

りっきーの療育の『眼』!

子どものつまづきを観察して見極めよう!

まずは、お子さんを観察して苦手な動作を見極めましょう。

  • ボールを上からうまく投げられない→肩全体の動きが課題
  • ペットボトルの蓋があけられない→手首のスナップが課題
  • 小さいものをつまめなくてイライラしている→指先のつまみが課題

といった感じで予測を立てます。

りっきー
ポイントは「その動きを、楽しく続けられる取り組みに変換すること」です。

ペットボトルの蓋を開けられないお子さんに、訓練のようにペットボトルの蓋を開ける練習をしたら嫌になってしまいますよね。
お子さんの興味のあることで、課題になっている動作もしくはひとつ前の段階の動作ができそうなおしごとを準備します。

我が家の場合、ペットボトルの蓋があけられない→肩から下全体を使ってあけようとしていたな→そういえば小児科でぐるぐる回したら音が鳴るおもちゃに夢中になっていた→ぐるぐる回す動作を繰り返したい時期なのかも→シュレッダーとコーヒーミル!という感じです。

道具の工夫で「できた!」を体感できる

ねじ回しを例にあげてみます。
大人が使っている通常のドライバーは子どもにとって長すぎたり、軸が太すぎたりしてうまく扱うことはできません。

我が家では連結して使うタイプのこちらをおしごと用に用意しています。
この右側の部分だけだと、子どもの手の大きさにぴったりなのです!

こういうタイプ↓

これはあくまでも一例ですが、このように「大人の常識」を一度横に置いて、お子さんファーストで使いやすい道具かどうか確認してあげてくださいね。

スモールステップの「できた!」経験が、発達っ子の力を引き出す

マイペースな発達っ子たち。
この取り組みをしてすぐに結果が出て器用になる!ということは残念ながらないかもしれません。

でも、一歩一歩が小さくても「自分でできた!」という体験は確実に子どもたちの中に積み重なり、力をつけていくことが可能です。

我が家の息子は、シュレッダー→コーヒーミル→ねじ回し、と夢中でやったあたりで、突然ペットボトルの蓋を手首のスナップを使って軽々とあけられるようになりました。

 

りっきー
息子はその後しばらく、自分が飲むときだけでなく私がペットボトルの水を飲もうとするたびに蓋をあけてくれました!

大人にとっては小さなことでも、子どもには大きな変化です。
誰の力も借りず一人でできることが増えるのは子どもにとって喜びなんですね。

ら最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、お会いしましょう!!

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ABOUTこの記事をかいた人

プラスモンテ®主宰。 モンテッソーリ教師&保育士。発達っ子の子育て中。 発達障害や、障害児教育から始まったモンテッソーリ教育のおうちでの実践を発信。すべての子どもたちに大切な「発達」の視点を伝えたい! 趣味は読書と旅行、フィギュアスケート観戦。学生時代、地球一周経験あり。47都道府県制覇しました!