【発達障害】基礎感覚って何?つまずきの原因をわかりやすく解説!~触覚編~

こんにちは。
「おうちモンテで療育.com」の管理人りっきー(@KodomoOtona58)です。

突然ですが、「感覚過敏」「感覚鈍麻」という言葉を耳にしたことはありますか?

ある特定の感覚に関して、極端に過敏さや鈍感さがある状態のことで、発達っ子は感覚に関するこのような特性を持ちやすいと言われています。

しかし、感覚というのは「誰しも自分自身が感じている感覚を普通だと思い生活しているので、他の人がどう感じているかはわからない」ものです。

そのため、お子さんがもし感覚に課題を抱えていても、気づくのが難しかったり、フォローする方法が想像できなかったりするケースがあります。

今回の記事では感覚に関するつまずきの例とアプローチ法について、「基礎感覚」の解説や対処方法、おすすめ書籍を紹介していきたいと思います。
まずは「触覚編」です!

プロフィールページでも基礎感覚について書いています。
よかったらご一読ください。

Contents

基礎感覚って何?

皆さん、「基礎感覚」とは何かご存知ですか?
あまり聞いたことがない方も多いですよね。

では「感覚」だったらどうですか?
すぐに思いつくものとしては五感がありますね。
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚です。

でも実はこれ以外に、発達につまずきのある子どもが抱える問題に大きく関わる「感覚」が存在します。
それが、「基礎感覚」と言われるものです。

「基礎感覚」とは、五感よりもさらに基礎となる「触覚(五感とも重なりますがさらにもう一つの原始的な触覚)」と「平衡感覚」「固有覚」を合わせた3つの感覚のことを言います。

これらは普段、ほとんど意識せずに使っている感覚です。
「触覚」については五感にも含まれますが、無意識に使っているという意味では「平衡感覚」や「固有覚」と同じです。

この3つの感覚はそもそも自覚がしにくいので、日常生活で困り感があったとしても、子ども自身も周りの大人も感覚の未発達によるつまずきだとは気づきにくいのです。

私も基礎感覚について知るまでは、まさかそんなところに息子の生きづらさが隠れていたとは思わずに過ごしてきました。

でもわかりにくいからこそ、そこを知ってアプローチすることが重要です。

りっきー
生活の質(QOL)に大きく関わってくる問題なんです!

触覚の問題

一番初めに大きなつまずきとしてあらわれるのは、触覚に関する問題です。
「触覚過敏」「触覚防衛反応」と言われる状態です。

りっきー
それって一体どういうこと!?

触覚には「原始系」と「識別系」の2つの機能があると言われています。
前者の原始系はたとえば急に驚かされたときなど、命を守る本能として働く機能です。
後者の識別系はたとえばカバンの中を見ずに中の財布を探り出して出すなど、意図的に触覚を使う機能です。

正常な発達の場合、命にかかわるような場面でない限り、脳機能として上位にある大脳新皮質という部分が使われることで下位にあたる脳幹(本能)レベルの反応は抑制されるようになっています。

大脳新皮質レベルで働く識別的な触覚(識別系)が優位となることで、下位にある脳幹レベルで働く触覚(原始系)にはブレーキがかかるはずが、発達に課題のある子たちはこの脳の中の交通整理がうまく働かないことが多く、常に「原始系」の反応が出てしまいがちです。これが「触覚防衛反応」といわれるいわゆる「触覚過敏」をもつ子どもたちの状態像です。

ずっと「原始系」が働いていると想像してみてください。
お友達に後ろからトントンされただけでびっくり!
思わず叩き返してしまうような状況も想像できますね。
常に何かから脅かされているような状態は、とっても疲れると思います。

「触覚防衛」のある子は自分から触りにはいけても、人から触られるのが苦手で拒否してしまう場合も多いです。
そのため、上記のように一見すると自分勝手な行動のように勘違いされてつらい思いをするケースもあります。

これは触覚防衛反応の特徴の「取り込み行動」と言われるもので、自分からは触れることはできても、相手から触れられるときは依然「原始系」が働いているために、意図せずに拒否してしまうことが多いのです。

感覚あそびのすすめ

触覚に対するアプローチについては、お子さんの状態像をしっかりと見極める必要があります。

ちなみに我が家では、水滴がちょっと服につくだけで大騒ぎになってしまうなど、一番「触覚過敏」がひどかった4歳半の頃は、毎日お風呂で身体を洗ったり、お風呂上りのクリームを塗るときに、ちょこちょこっと触覚過敏(触覚防衛)に対するアプローチをしていました。

まず一つ目は、お風呂で身体を洗うときに、本人に触る場所を伝えてからスポンジで圧をかけることです。
ポイントは本人が触られる場所を認識してから、そっと触るのではなくぐっと面で圧をかけることです。点ではなく面で触れます。識別系の触覚を使うことを意識します。

そして二つ目は、お風呂あがりに身体にクリームを塗るときです。
これも本人に塗る場所を伝えてから、手のひらを使って少し押し付けるようにボディラインに沿って触れていきました。両側から体幹を意識して圧をかけていくことでボディイメージの向上もはかっていました。

アプローチの結果、始めて1~2ヶ月でまず、服に水滴がついたときにその場所を折ったり、ズボンに入れたりして隠してしまえばパニックを起こさないようになりました。

その後しばらく家にいるときはドライヤーで乾かすという術を覚えて自分なりに対応していました。
他の部分の育ちも相まって折り合いをつける力が芽生えてきたように感じました。そして1年後気づけば濡れても全く気にしないようになりました!!

糊を触ることやどろんこ遊びも苦手で、なかなか参加できませんでしたが、少しずつ自分から触りに行けるようになり、2年たった段階では糊を使った制作やどろんこ遊びにも楽しく取り組めるようになっています。

参考になる書籍も今はたくさんありますので、その中からお子さんが好みそうなもの、抱えている課題に楽しく向き合えそうなもの(ここ重要!)を見つけて、少しずつ取り組んでみるとよいでしょう。

具体的なアプローチについては、下記の2冊がバリエーション豊富なあそびが掲載されていておすすめです。

 

 

 

この世界は安心できるところなんだ

感覚過敏(触覚防衛)が軽減されることで、本当に毎日が過ごしやすく、豊かになります。

これまで常に闘争状態で、おびやかされるような状況で、息子はとても苦しかったと思います。感覚が改善されてくると、子どもは環境の中で安心して過ごせる時間が増えます。

逆に言うと、触覚に課題があると、スキンシップを意図せず拒否してしまったりと、親子ともに大変な時期を過ごすことになりがちです。

「知っている」ことと、「知らない」ことは大違い。
この2年間で息子の状態像から学んだ大切な事実です。

基礎感覚について、実践だけでなく理論について学びたいという方は、こちらの本をおすすめします。



今回の記事では「基礎感覚」のうち、「触覚」について書いてきました。
次回以降、「平衡感覚」「固有覚」についても解説していきたいと思います!

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
また、お会いしましょう!!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

プラスモンテ®主宰。 モンテッソーリ教師&保育士。発達っ子の子育て中。 発達障害や、障害児教育から始まったモンテッソーリ教育のおうちでの実践を発信。すべての子どもたちに大切な「発達」の視点を伝えたい! 趣味は読書と旅行、フィギュアスケート観戦。学生時代、地球一周経験あり。47都道府県制覇しました!